2015

南三陸町  復興の橋

Memorial Bridge, Minamisanriku

堀越一希+構造協力:OUVI一級建築士事務所

 志津川湾に面した宮城県南三陸町志津川地区。
三陸沿岸らしいリアス式海岸の風景が広がるこの地区は、2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震に伴う津波で壊滅的な被害を受けた。

 人道橋を掛けるにあたり重要視したのは、橋を架けわたすその「場所性」である。我々が“恐れ”を経験した海に最も近い橋。

 復興計画が整い大地が生まれ変わったとしても、この場所を訪れる人々が震災を意識することは、多くの被災者やその親族に哀悼の意を表することに他ならない。復興という眩い町の未来には、豊かさだけではなく、遺構としての記憶が必要であると考えた。しかしそれは同時に、被災者にとっては思い出したくもない記憶であると思う。この橋を見に来た人は言う「あの橋の一番上の高さは、ここを襲った津波の高さと同じなのだ。」あの橋は誰々が設計しただの、デザインがかっこいいだの、ではなく、人づてに後世へ伝え続け、新しい世代へと“恐れ”を教えてくれる。震災を一転し、南三陸町をずっと見守り続けてくれるような、そんな「架け方」ができないかと考えた。

 私は南三陸を襲った脅威、最大津波到達高さT.P+15.9mに橋という「かたち(スケール)」を与える。震災後の大地にあっけらかんとして立つ朱色の鉄骨躯体、町を飲み込んだ津波をフィーレンディールのエレメントとして抽出し、橋へと昇華させた。

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