Jurgen Lehl

July 29, 2017

 

 ある本屋で『on the beach』という美しい装丁の作品集に出会ったので紹介する。著者の「Jurgen Lehl(ヨーガン レール)」は1971年の来日以来、40余年を日本で暮らしてきたドイツ人のアーティストだ。その本をぱらぱらとめくったのち、結局その時は買わなかったのだけれど、なんだかもやもやして結局購入してしまった。本当にいいものって瞬時にはわからなくて、後になってふつふつと記憶に残っているもの。最初はテキストも読んでいないし「なんか変なことやってるわー」という印象だったけれど、不思議と親近感を覚えた。彼はある島に移り住み、ビーチに打ち上げられるブイやフタを集めてランプをいくつも自作し、美しく写真に収めたのだ。

 

「 私はそのゴミを使って、何か自分が美しいと思うものを作り出す努力をします。ただ美しいだけのオブジェではなく、もう一度人の役に立つ実用的なものに変えましょう。」(Jurgen Lehl)

 

 その本には見開きの数十行の文を除いて写真しかなく、しかしそれでいて、ゴミにはまったく見えないランプがたくさん載っている。あたりまえの材料で、私たちがないがしろにしてきた「どーしようもなく意味のないもの」を“読み替え”実用的なものへと代える。またそうした断片の配列に、たとえば年代順のような規則性があるわけでもない。その大きさも不揃いで、彩色も異なる。一貫しているのはおそらく、同じ一人の作者であることにすぎない。では一体なにが面白いのか、たぶん、明らかに部分だろう。各部分のゴミが前後との関係性を持たず、それ自身として、そのゴミだけで、それなりに面白い。時間の軸に沿っていえば、一度見終わった断片や、くるべき断片とは関係なく、常に反復して、結果として、ひとつ面白ければ、また面白いと錯覚を引き起こす。何かを語るわけでもないし、よくみると実は結構汚なかったりする。ありふれた材料で、見たことないようなものを創る。ここで獲得している“全体性”が私が最近考えていることに通じるものがあるなと、買ってよかったと思った。この本で使われている紙の銘柄が知りたいので、今度竹尾にいって聞いて来ようと思う。結局のところ、私が建築を設計して、クライアントへ徹底的に模型をつくって、写真に収める。その一連の過程、「ものづくり」に対するスタンスが親近感の正体であってほしいなあと思うばかり。

Share on Facebook
Share on Twitter
Please reload

Related article
Please reload

|

© 2017-19 Kazuki Horikoshi All Rights Reserved.