Alfama

December 1, 2017

 

 

 今月でやっと現地での実測調査を終えたのだが、以前の研究では同期のTと二人がかりでやっと終えたものを今回はひとりなのでなかなか時間が掛かる。改めて研究対象を紹介したいと思う。場所は首都リスボン東海岸沿いにある「アルファマ」という旧市街だ。アルファマはちょうど山の中腹にあたり、山頂にはリスボンで最も高い「サン・ジョルジュ城」がそびえたつ。かつてここは城下町・下町で低所得者あるいは漁業に従事する者たちの住処だった。城だけ見ればトップダウンの要塞都市だが、同時進行的に一次産業によるボトムアップで形成されてきたのがアルファマである。面白いのは、皮肉にも下町と称されるこの場所が1755年に起きたリスボン大地震で倒壊を免れており、逆にその他(城など)には甚大な被害が出た。そういうわけで町のなかにはローマ時代やムーア時代の壁がいまも絶賛使用されていたり、人口増加による増築増築でごちゃごちゃのコラージュ村が形成されている。私たちが図面をひくときに用いる「通り芯(軸を通す)」という概念が根こそぎ存在していない。意味のわからないズレや、もはや垂直な壁面は存在せず家の壁がいくらかひん曲がっている。そのくせ20mはあろう建物間の道幅はわずか2mに満たない。暗くてひんやりとした洞口のような湿度。けれど不思議なのは、暗さなんて一切気にならないのだ。生活の豊かさがあふれんばかりに染み出ている。みんな窓先にあるロープや金物に洗濯物を干して、向こう三軒どころではない、窓越しに喧嘩をしていたり、街路に家具を出して無理くり内部化していたりする。色だってパステルカラー。建築家の介在やデザイン、合理性という言葉が排除してきた要素の集合体のよう。私たちが学んできた意匠とは?が一切通じないような空間が生まれている。ここを選んだ理由は日本の事例との比較検討のため。同緯度(気候条件)、地震から免れた村、漁業を起源とし、斜面勾配や街区面積まで同じである。現在は実際に計測したデータをまとめる作業を行っているが、大変興味深い数値が出た。願わくば一発で黄表紙掲載決定してくれればいいのだけれど...まだまだ先は長い。

 

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