Bairro da Bouça, Alvaro Siza

January 21, 2018

 

 以前行き忘れていたアルヴァロ・シザ設計「ボウサの集合住宅」。場所はポルトの中心市街地にあり、メトロLAPA駅下車その目の前に佇んでいる。こんなにも近くにあったが前回見落としてしまった。1974年に着工したが部分的に完成して不法占拠され、四棟全て竣工したのは最近2006年になってからという面白いステータスをもつ。もともと低所得者向けとして建設されたが、蓋をあければそのデザイン性が影響し若手や高齢者などさまざまな人が入居しているのだという。構成は2階建てメゾネットが二層積まれた長方形ボリュームで、駅側にある巨大なコンクリート壁に沿い四棟が均等に並ぶ。よく写真にでてくるアイコニックな階段側、これは勝手口にあたります。実際は反対側1階に鉄格子の玄関が存在していて両サイドからメゾネットへアクセスできるようになっているのですね。またこの勝手口のスケールが面白くて30cmほどの幅しかありません。巨大な白い躯体に赤い手摺や動線のアクセントが配色され、不思議な可愛らしさと同時に禍々しさを感じさせます。内部はもちろん見れませんが、興味深いのは「配置」です。セキュリティ、安全面から察して道路と並行に壁面線が揃うファサード。そして共通のオートロック式玄関から全ての居住者が入場する、というのが西欧の一般的な集合住宅でしょう。何が言いたいかというと、この建物を訪れて日本でいうところの「団地性」とは何かを考えさせられたのです。各住戸が玄関をもち外部をたったドア一枚で隔てる、そんな典型的で簡単なことへの実現が「治安」というヨーロッパの社会性でいかに難しいか。加えて高い天井高をとる西欧では積めば積むほど必然的に日影はひどくなります。いやに大きな隣棟間隔だなあと私が思っていた、この建物の「配置」は中庭という機能それ以上に「すべての住戸へ均等に光を入れたい」という住環境によるスケールと考えれば合点がつきます。都市に対する幾つもの違犯をもつような意味深い建ち方です。しかし気になったのは即物的で人気がない、使われていないような中庭の殺風景さは(シザらしくありますが)成功しているかと言われると難しいところ。本来日本ではここへ駐車場があり多くの車があることが人間性や気配を感じる一つの役目になっているのかなあと、なんだか色々考えさせられる訪問でした。

 

Share on Facebook
Share on Twitter
Please reload

Related article
Please reload

|

© 2017-19 Kazuki Horikoshi All Rights Reserved.