2021
#2-4f 会議室の塗装
Painting in conference room #2-4f
皐月の終わり頃、突拍子もなく「ある会議室を改修したい」という話が舞い込んできた。
聞くところによると、現状では収容人数が足りないため、隣の部屋を潰して床面積を拡張してほしいとのことだった。しかしながら予算は限られており、工期は内装と家具工事を含めて実質3週間しかないという状況にあった。
ほとんど何もできないような要件によって、ぼくらは必然的に、最低限の工程及び作業手間として「塗装」と歩止まりを、そして現場との対話を通して改修することを試みた。
壁面の塗装はFL+250mmで切断され、足元に見えるどす黒い巾木と淡色のカラー仕上げが愛らしい。床面は、汚れが堆積したPタイルがワックスによってテカテカと光っている。合理さを追求した電線管やエアコンダクトは相変わらず騒々しく、天井には未だに空気管式感知器と有孔板が白々しく顔をのぞかせている。
恥部がいま確かにこの部屋を、この建物を、生きづかせていることに気付いたのだ。
ここには何かと中途半端で、はっきりとしない事実たちが併存している。
この会議室は透明になった。